ソフトカプセルの液体漏れに対する調査方法

ソフトカプセルの液漏れ原因の調査方法(その2)

前項(その1)で述べたソフトカプセルの内容液が漏洩する原因のB、すなわちカプセル内容液中の粉末成分が、カプセル皮膜接合部に挟まり、 そこから内容液がにじみ出た場合を中心とした、検査・確認方法について以下に述べる。

●確認検査
1)液漏れ箇所の特定
目視または目視で判別できない場合には数倍〜20倍程度の実体顕微鏡を用いて観察する。
ピンホールからのにじみ漏れの場合、その液漏れ箇所はカプセル皮膜接合面の中心にある。
カプセル充填時に内容液を2枚のカプセル皮膜の間に注入しつつ、その圧力(注入圧)でカプセルを膨らませながら皮膜をヒートシールして接合するという ソフトカプセルの製造機構から、内容液の注入口がそこ(すなわちカプセル皮膜接合面の中心部)にあるからである。
この時、注入口から噴射された内容液はわずかながら接合部に残存することがある。
この残存物中に、内容物中の粉末成分に由来する大径粒子または凝集粒子が存在した場合に、時としてその部分がピンホールとなって液漏れを誘発することになる。
以上の機序によって、(その1)で述べたBのケースは、液漏れ箇所は一定の箇所、すなわちカプセル内容液を注入した箇所であるカプセル皮膜接合部の中心で起こる。(写真1)

ソフトカプセルの皮膜接合部の液漏れ写真
写真1

2)検体の作製
特定した液漏れ箇所を鋭利な薄刃を用いて輪切りにする。
この薄刃は、剃刀刃が好ましい。(写真2)
鋭利でなくては弾力性に富むソフトカプセルをカットしにくく、薄くなくては接合面に負荷がかかることで接合面が損傷されてしまい、本来の接着状態が観察できない可能性がある。

カミソリ刃の写真
写真2

3)検体の観察
リング状にカットされたカプセル皮膜の接合面を100倍〜200倍程度のマイクロスコープで観察する。
デジタルスコープは、パソコンに接続可能なタイプであれば、拡大しての詳細観察や写真撮影が可能なため、より好ましい。
現在では、安価なデジタルスコープが容易に入手できる。(写真3)
これを使用し簡易的な観察セットを構築した例。(写真4)
プロ用機材に比べては、画像の鮮明さや撮影能力には劣るものの、接合面の観察やそれによる原因の究明には十分機能する。
デジタルスコープ写真 簡易観察セット写真
写真3 写真4
なお、ここまでの観察で、カプセル皮膜の接合部が極めて薄いこと(接着部の厚さが、皮膜厚の3分の1以下である、ピンポイントでしか接着されていない等)、弱いこと(ヒートシールが不十分で、簡単にはがれてしまう等。皮膜の融点が高い植物性カプセルに多い事例である) が認められた場合には、Aのヒートシールの異常、または接合厚さ不足と推定し、次の完全検査へ移る。

もしもこの時、皮膜接合部への粉末粒子のかん合が観察されたならば、Bと特定し、直ちに善後策の検討に入るべきである。
具体的には次の点の対策を行う。
  • カプセル内容液に配合する粉末原料の品質を再検討する。(より粒子が細かい原料を選択する)。
  • 調合方法を再検討する。(粉末粒子の粉砕・分散方法の見直しで、二次凝集を防ぐ)。
  • 選別検査を徹底する。(液漏れカプセルの完全除去)。

以下に、上述の簡易セットを用いての観察例を示す。
液漏れが発生したカプセルの中央部をカミソリ刃で輪切りにし、デジタルスコープにて観察した。(写真5)
その結果、カプセル皮膜接合部の液漏れ部分に、粉末粒子と思われる噛み込みが認められた。
写真では解りやすくするため、赤色の油性マジックを使用し、皮膜断面を着色している。(写真6)

カプセルの輪切り写真 輪切り部のアップ写真
写真5 写真6
●完全検査
検体の観察の結果、Aのヒートシールの異常や接合厚さ不足が疑われた場合、念のため完全試験を実施して確認する。
その方法として、錠剤の硬度計を用いた破壊強度試験を用いる。
一般のソフトカプセルは、弾力を有しているため、通常は20sf以上の力をかけても割れず、押し面が凹むだけである。
接合が弱いカプセルであっても極度に軟化したカプセルであれば、やはり同様な状態になることがあり、その場合には判定が困難であるから、デシケーターなどを用いて、十分に検体カプセルを乾燥させ、弾力性を少なくしておく。 (たとえば湿度30%、48hr保管などで充分に乾燥させる)
その後、硬度計を用いてカプセルの破壊強度を測定する。
この硬度試験は、個人誤差や環境(温度湿度など)の影響を受けやすいので、検体数を20粒 (n=20) 以上とすること、検体と同じサイズの正常なカプセルを比較対照とすることで、試験の信頼性を高める。
この時の平均硬度は一般に10sf以上であって、対照カプセルとに有意な差がなければ、被験カプセルの接合部には問題ないと判断してよい。
もしも接合部の問題が疑われる場合には、当該カプセルの製造記録や保管サンプルなどを調査の上、原因を追究し、次回製造時には適切な対策を講じる。 (一般に、接合部が弱くなるケースとしては、カプセル皮膜の配合の問題、ヒートシール温度の不足、内容液成分による接着阻害が挙げられる)

●終わりに
このように詳細に調査した結果であっても、安易な結論を出す前には十分な考察がなければならない。
仮に当該カプセルが適正なグリセリン量、水分含有量で製造されていたことが確認され、@のケースと判断されたとしても、容器(ビン、ボトル、アルミ袋等)に入れる乾燥剤が過大ではなかったか、出荷形態に問題はなかったか、 販社様への情報提供に不足はなかったかなどをトータルで考察しなければ、単に消費者の取り扱いの問題や、輸送・販売中の異状と決めつけることはできないのである。
(その1)で「トラブルの発生状況を総合的かつ詳細に調査することが肝要である」と述べた理由はこのあたりにある。

参考1)
一部の受託製造会社では、カプセルのバルク出荷に際し、経費節減のために、50g〜100gの特大の業務用シリカゲルを直接カプセルに触れるようにすることがあるが、 この方法はシリカゲルに接触したカプセルの局所的な過乾燥を招くおそれがあり、注意が必要である。
ソフトカプセルのトラブルというと、ややもすると梅雨・夏場の軟化、変形、付着に目が行きやすいが 冬場の低温での弾力性の低下、低湿度下での過乾燥が原因で、@Aのケースの多くは冬場に起こりやすい。

参考2)
プロ(すなわち健康食品のOEMメーカー、受託製造会社)が、プロの機器を使用して撮影したカプセル皮膜接合部写真の例を挙げる。
一般に、ソフトカプセル皮膜の接着部は、皮膜厚さの3分の1程度の接着面積が確保されていれば合格と考えて良い。
したがって、この写真のソフトカプセルの接合部は見事にシールされており、この状態であれば、まず液漏れはないと言える。

カプセル接合部の写真
写真7

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